水溶性と油性
化粧品の原料は、液状のもの、クリーム状のもの、粉状のものがありますが、これらを構成する成分を細かく見ていくとひとつひとつの成分には大切な役割があることが分かります。
水に溶ける「水溶性成分」は化粧品に使われている基本的な成分です。保湿効果や肌を引き締めるもの、成分を溶解する溶剤、防腐効果など、さまざまな目的を持った成分が組み合わされています。
油に溶ける「油性成分」は角層の水分が外部へ蒸発するのを防ぎ、潤いを保つエモリエント効果のために配合されます。油性成分は乳化させてクリームや乳液、美容液として使用されることが多い成分です。
お肌のために
人の皮膚は弱酸性ですが、「pH調整剤」によってコスメを人の肌のpH値に近づけることがあります。クエン酸、リン酸、乳酸などは酸性に傾ける時に使用します。
また、化粧品に含まれる油性原料には酸化されやすいものがあります。化粧品が酸化すると皮膚への刺激の原因となることもあるため「酸化防止剤」を添加することがあります。代表的な成分にトコフェロール(ビタミンE)があります。
品質安定のために
「界面活性剤」不使用…と記載された化粧品をご覧になられたことがあると思いますが、界面活性剤は、分離してしまう水と油をなじみやすくするものです。水と油を馴染ませることを「乳化」と言いますが、完全に溶解させるのではなく、水または油を細かな粒子にして分散させた状態を言います。
品質保持・向上のために
品質保持を目的として配合する「増粘剤」は、他にも使用感の向上や皮膜形成、乳化された水と油の分離を抑制する機能があります。よく知られているヒアルロン酸Naやコラーゲンは適度な水分を保持することを目的として使用されます。
化粧品に微量の金属イオン、ミネラルが含まれていると、酸化や、化粧品内の成分と結びついて商品を劣化させてしまうことがあります。「キレート剤」を配合すると、金属と結合して金属の働きを封鎖することができます。
化粧品にはアミノ酸や糖類、天然油脂など、カビや微生物のエサとなる成分が含まれています。カビや微生物の繁殖を抑え、長期間安定した品質を保つには、「防腐剤」を配合する必要があります。パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)が有名ですが、パラベンにも種類があります。
いろどりのために
肌を彩るために「着色剤」が使用されます。特にメイクアップ商品に、主に顔料が使われています。艶や輝きを出したり、マットな雰囲気にするなど、質感を変えることもできます。落ちにくいリップには角層に染着する染料が使われていることがあります。
これらの機能を持つ成分を複合的に配合して、さまざまな機能を持った化粧品が作られています。化粧は原始の時代から続いている文化ですが、古代には体に良くない作用を起こす原料が使われていることもありました。
現在の日本では、どの成分もさまざまな機関の厳しい検査に合格したもののみが使われているため安心して使えますが、それでも人それぞれ肌質は違います。自分に合わないと思ったら使用をやめて、購入した店舗にご相談ください。